厨房屋の白髪頭のオヤジは歳のせいか
子供の頃の思い出や夢をよく見ます・・
その内容は何時も反省しきりの事ばかりです。
昔に戻れるのなら・・
やり直しが効くのなら・・
もう一度だけでもチャンスを・・
全てが自分や人に対してですが、要するに
出来の悪い子供だったのでしょう。
それがいい歳になってやっと気が付くのです・・
昨夜の夢はやはり小学校４年か五年生の頃で
担任の女性教師（男の様なオバさんでした）が
体調不良になられて二か月ほど教生の先生が
来られ、クラスの面倒を見て頂ける様になり
若くて細い小柄な先生で、まだ学生さんなのかと
思いましたが、開口一番
「担任の先生から皆に宮沢賢治の雨二モ負ケズを
暗記させてますと聞きました・・自分は東北出身で
大学は東京ですが、京都で教師になります。
挨拶代わりに自分も大好きな賢治の詩を朗読します」
この様に仰って今まで綺麗な標準語でしたが、
いきなり東北弁と言うのか、ズーズー弁と言うのか
子供の私には聞いた事の無い発音の雨二モ負ケズ
でしたが、それを聞いたオヤジの頭は雷に打たれた
様で泣いてしまったのです、何故でしょう・・
廻りの皆にバレない様に涙を拭くのです・・
ただただ皆で暗記を強いられて覚えた詩ですが
教生先生の朗読は心の中に情景が浮かぶのです
どんな人が何の為にこんな詩を作ったんだろう
などと少しだけ考えてしまうのです・・
嗚呼！自分は雨にも風にも負けている・・
勝てるものなど何一つ無い・・
あの時の、まだあのままの自分がここにおります・・
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